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学術変革領域研究(A)公募研究の応募が開始されました

DNAの物性から理解するゲノムモダリティ
https://www.genome-modality.com
領域略称名 ゲノムモダリティ
領域番号 20A305
設定期間 令和2(2020)年度~令和6(2024)年度
領域代表者 西山 朋子
所属機関 名古屋大学大学院理学研究科

1. 領域の概要

ゲノムDNAの構造と機能の理解は、塩基配列やヒストン修飾を基盤とするゲノム/エピゲノム制御といった情報的側面の理解と、ポリマーとしてのDNAが持つ構造物性的側面の理解の両輪から成る。本研究領域では、ポリマーとしてのDNAの構造物性的側面に着目し、DNAの情報的側面との関連性を明らかにすることを通して、ゲノムの構造と機能の理解を目指す。特に、塩基配列情報・DNA物性・その他の環境諸因子により多元的に制御されるゲノムの構造や機能の様式を「ゲノムモダリティ」と定義し、ゲノムモダリティを通した複眼的視点から真のゲノムの姿を理解することを目指す。そのため本研究領域では、物理学・計算科学・生命科学・医科学の各分野からの研究者の参画を必要とする。

本研究領域が扱う研究対象は、ナノスケールのDNAやヌクレオソームから、組織や個体のスケールに及ぶ。ゲノムモダリティを制御する要因としては、DNAの物性に加えて、核内や細胞内環境、広い意味でのタンパク質物性、液−液相分離を代表とする物理化学反応が想定される。本研究領域では、これらの要因がそれぞれのスケールでゲノムモダリティをどのように制御し、染色体やクロマチンの振る舞いを規定するのか、その制御がどのように細胞機能に直結し、そしてその破綻が発生異常や疾患を引き起こすのかを、理論・計測・実験的再構成・ゲノミクス等の異なる手法を用いて解明することを目指す。

本研究領域では、ゲノム構造の各階層に応じて三つの研究項目(A01、A02、A03)を設ける。研究項目A01では、高分子物理学に基づいたナノスケールゲノム構造形成原理の追求を行うとともに、周辺環境に応じた構造・機能制御原理を理解する。また、ナノスケールから高次ゲノム構造に至る各階層を理論的に連結するマルチスケール理論構築を行う。研究項目A02では、ヌクレオソームやDNAループ構造、クロマチンファイバー/ドメイン構造を含むメゾスケールのゲノム構造の形成・機能原理をDNA物性的側面に着目して理解する。研究項目A03では、疾患・生理現象に関連する染色体レベルのマクロスケールのゲノム構造に対して、物理学に基づく形成・機能原理の理解を行う。

2. 公募する内容、公募研究への期待等

公募研究では、研究項目A01からA03に対応するスケールでゲノム構造を明らかにする実験系・理論系の研究、さらにA01からA03をつなぐマルチスケール理論の構築を行う研究を募集する。研究項目A01では、ナノスケールのDNA物性やゲノム構造と、それを制御するタンパク質物性を明らかにする研究や、そのための技術開発、数理モデルを用いてマルチスケールのゲノム構造理論を構築する研究を募集する。例えば、DNAやゲノムのソフトマター物理、Cryo-EMや超解像顕微鏡を用いたタンパク質構造解析や核内構造解析、染色体レベルでのクロマチンダイナミクスモデリング、Hi-Cやクロマチンダイナミクスデータ等の理論的・統計的解析を行う研究が該当する。ナノスケールDNA物性を対象とする研究においては、ゲノムスケールや細胞機能への展開を視野に入れた研究を期待する。研究項目A02では、メゾスケールのゲノム構造を制御する諸現象を対象とする研究を募集する。例えば、DNA/クロマチンのループ形成や相分離現象の解析、DNAや染色体、核内構造の力学的特性を明らかにする研究、それらを制御するDNA/タンパク質一分子動態解析研究が該当する。研究項目A03では、モデル/非モデル生物のゲノム構造研究、疾患とゲノム構造の関連性を明らかにする研究、機械学習等を利用したゲノム動態を理解するための研究を募集する。いずれの研究項目においても、若手・女性研究者の積極的な応募を期待する。なお、研究計画書には理論系・実験系の別を明記のこと。

3. 公募する研究項目、応募上限額、採択目安件数

研究項目 応募上限額(単年度当たり) 採択目安件数
A01 ゲノムモダリティの理論と基盤 理論系 400 万円
実験系 500 万円
5 件
11 件
A02 メゾスケールのゲノムモダリティ
A03 ゲノムモダリティの制御と疾患
文科省リンク

https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/boshu/1394559_00004.htm

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